60年代、70年代、80年代、90年代と、それぞれの時代で数多くのバイクファンに注目されていた絶版バイクは、今もなお多くの愛好家から支持を集めています。
1966年、ホンダがロードレース世界選手権においてすべてのクラスでマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得するという快挙を成し遂げました。当時は、経験を積んだ職人の手仕事と走りを知り尽くしたライダーの助言によってマシンを仕上げていたのです。市場に販売されていたバイクも、ただ計算するだけでは出すことのできない独特の味を持ったマシンばかり。ホンダだけでなく、カワサキ、ヤマハ、スズキなどの各メーカーから、様々な「名車」が生み出されてきました。
ライダーにかかる負荷をできるだけ抑えながら、速さを求めて不要なものを削ぎ落として作りだされた形は、現在流通しているバイクにもその片鱗が見られます。一つ一つのパーツにも意味があり、実際に絶版バイクをメンテナンスしていれば、いかに職人が考え抜いたものかが伝わってきます。
また、好みのカラーリングや部品のカスタムもバイクの醍醐味。バイクをカスタムするごとに、自分好みの愛車へと変わっていきます。
外車のヴィンテージバイクの愛好家は、日本にはないデザインを求めて外車を選ばれています。国内で流通する量は少ないものの、巡り会えたときの感動は言葉にできません。
ヴィンテージバイクは、独特のエンジン音が響きます。エンジンの排気量やストロークによって音が違うため、愛好家の中にはエンジン音を聞いただけである程度車種を特定できる人もいるほど。
レスポンスの良さや振動なども、それぞれに個性があります。逆輸入車は日本国内とは異なる規制のため最高速度・最高出力ともに高い数値であり、ファンから根強い人気を集めています。もちろん日本の公道では規制以上の速さで走れませんが、それだけのポテンシャルを持つバイクを手に入れ、使いこなすことがライダーの自尊心をくすぐるわけです。
きちんとメンテナンスし、丁寧に乗っていればずっと走ってくれる車体が多く、毎回のメンテナンスこそが絶版バイクの魅力と言えるでしょう。
現行で販売されているバイクには主にインジェクションが使われており、エンジンを電子制御しています。
また、自動車排出ガス規制などに対応するために様々な技術が用いられています。もちろん性能は良く走りも滑らかですが、電子部品を使っているため自由度が高くありません。昔のバイクは、キャブレターで機械的に制御しています。専門家でなくとも、道具があれば家でメンテナンスできることも多く、自分のバイクを自分で整備できる喜びがあります。
愛好家として、メンテナンスしやすく温かみのある旧車に魅力を感じるのは、当然の成り行きなのでしょう。